Love Eater Ⅲ
愛してると言ったじゃないか。
女として僕を愛していると。
いくら年月を重ねようがその言葉だけは鮮明。
刹那とはいえあんなに心が震え歓喜した瞬間は生きてきた中でたった一度。
あの瞬間だけなのだ。
初めて男女として意識して向き合えた瞬間。
あの瞬間を永遠にするために。
なのに……ここにきてまた母親面に戻るんじゃねえ!
そんな激情の勢いのまま、時雨の唇は夜音の唇に食らいついており。
重なるだけでは留まれぬ欲求は夜音の口内を荒らして吐息までも貪り尽くしていく。
決して、優しくも甘くもない口づけ。
乱暴とも言える行為であるのに、夜音もまたどんなに表情を苦悶に歪めようが時雨を拒むようなことはなく。
生理的な涙を滲ませ体を震わせながらも華奢な両手を時雨の体にしっかりと巻き付け身を寄せていく。
そうして酸欠にもなりそうな口づけを交わしてしばらく、ようやく唇を離しまともな酸素を肺に取り入れると。
「……はっ…………これでも…子ども扱いを出来るというのならやってみてください」
濃密な口づけであった名残。
二人の唇を未だ繋いでいた糸を拭い取りながらそんな嫌味を言う時雨の男性的な事。
それに対する夜音は頬を紅潮させ、未だ酸欠に息を乱してぐったりとしている状態。