Love Eater Ⅲ



そんな夜音に『ザマアミロ』と思ったタイミング。

「はっ……はぁっ……はぁっ……フ…フフッ……挑発にムキになるところが…はあっ……まだまだ子供だわ……」

「まだ……言いやがりますか?」

「だって、私の事でムキになる時雨がたまらなく愛おしいんだもの」

「っ……」

「あら、……反抗期はもうお終い?」

「本っ当……くそ腹の立つ女ですね。相変わらず」

形勢逆転というのか。

いや、そもそも時雨が夜音に勝てたこともなければ、これから先も勝てることはないのだろう。

そんなことは時雨も薄々理解はしていて、それでも小さくも一矢報いたいと思っての行動だったのだが。

結局……一矢も叶いませんでしたか。

そんな結論に至ってしまえば今までの激情も落ち着きを見せ、ただ脱力の息を吐くばかり。

それでも……良かった。

「ん?……時雨?どこか行くの?」

不意に静かに立ち上がったのは時雨の姿。

当然すぐにそれに反応した夜音が不思議そうな面持ちでその姿を見上げて疑問を投げるのだが。

「行くべきところへ。罪を重ねたこの身の……然るべきところへ」

ようやく念願叶って夜音と再会する事ができたのだ。

出来る事なら、叶うものなら、このまま一緒に居たいと思うのだ。

それでも、自分が如何に非道なことを繰り返して来たかもよくわかっているのだ。

「受けるべき罰は受けなくてはいけませんから」

利用して傷つけてきた者達へのせめてもの懺悔の為にも。

花鳥の為に、

百夜の為に、

リッカの為に、

六花の為に。

「私は……行かなくては」

償わなくては。

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