Love Eater Ⅲ


「だったら尚更、何故僕はここでっ…」

「ここだからよ」

「…………はいっ?」

「あなたの犯してきた罪は実に重い。人をやめ、非道で非情に他人の命を軽んじ弄んだ。たった一人の存在の為に何にでもなりなんでもできてしまう恐ろしい存在。だから、この生と死の間、……虚無と忘却の世界に投獄されることになったの。永久に」

「………ここが……刑場?……虚無と…忘却?」

「ええ、私が何百年と投獄さえている場所。ここで迷える魂をあるべき場所に導く。それが私が何百年も担ってきた罰。…そして、あなたがこれから担うべき罰」

「魂の……導き、」

「………ちなみに、私があなたをここに堕とすよう頼んだのよ」

「…………………はあっ!?」

「言っておくけれどここの仕事は辛いわよ~。なんたって記憶喪失の迷子の相手を根気よく続ける陰気な仕事なんだから。しかも、油断してるとどんどん自分の記憶まで忘れて自分が誰だかも、大切な人のことまでわからなくなっちゃうような怖いところなんだから」

「っ……」

「……ね?地獄の拷問よりずっと恐ろしくて恐いところでしょう?」

「色々………突込みどころはそう…色々ありますが。……ええ、恐ろしいところですねえ」

「本当……恐いし苦しいのよ?思い出せないって」

きっと、どんな痛みが伴う拷問よりも残酷な罰。

この二人にとっては特に。

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