Love Eater Ⅲ



「っ…ソルトぉっ!!?」

何の前触れもなく突然倒れこんだソルトには、今までふくれっ面を向けていた六花も焦り全開に駆け寄るというもの。

一体何がどうしたのか?そんな戸惑いは六花だけではなくソルト本人も抱く自分への疑問。

「うわぁぁん!!ソルトが死んじゃうぅぅぅ!死んじゃいやだぁぁ!」

死ぬかボケっ!

縁起でもねえっ!

とは、思えどだ……マジで動けねえし喋れもしねえ。

なんならだんだん思考も虚ろだし…。

心配そうに覗き込んできている六花に『大丈夫』だと一言でも告げて安心させてやりたいというのに。

どうにも急激なる眩暈と睡魔に襲われ言葉を発する事すらままならないのだ。

そんな戸惑いの中、徐々にぼやけていく視界の端にスッと入り込んできたのは冷静な百夜の表情で。

「まあ、当然の限界ってやつさね。死にかけた体を激情だけでなんとか突き動かしてたような状態だったんだ。すべて落ち着いて緊張の糸も切れた今一気にショートしてもおかしくないさ」

「ううっ、ソルト死なない?死なない?」

「殺しても死なないのがりっくんだからねえ。数日は昏睡状態にはなるかもだけど」

数日だ?

そんなに眠ってられっか。

まだ色々後始末は残ってるし、仕事だって。

ああ、クソっ…そう思うのに…意識が…。

「フッ…今はゆっくりと眠るがいいさ。後の事は僕が始末をつけておく。大丈夫…悪いようにはしないさね」

そんな百夜の言葉を最後。

ソルトの意識は意に反して沈んで途切れていったのだ。





お前の『悪いようにしない』は当てにならないんだよ、百夜。






さてさて、目覚めた際には神父様を取り巻く状況はどうなっておりますやら…。




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