Love Eater Ⅲ
その次の瞬間にはふらりとよろめいた蓮華の姿と。
それを倒さんとばかりに捕まえ支える百夜の姿と。
「うむ…空腹は最高のスパイスとはよく言ったものだ」
「百夜サマ、それサラッとなんか失礼っすよね?」
「いや、なかなか熟成された良い魔力を持っておるぞ蓮華」
「そりゃどーも」
そんな会話を程々に、次にスッと立ち上がったのは百夜の姿。
代わりに蓮華は『あー』と抑揚のない声を響かせ貧血の如くクタリとその場に座り込む事になったのだが。
百夜その表情は先程の青白い顔色とは違い生き生きとした艶を見せ、食事をした後の如く唇を舐めてツラリと笑う。
それでも、自由を得た身体はすぐさまソルトの下へと駆け寄っていき、改めてその生死のほどを確認し始めるのだ。
分かってはいたが無残。
止めどなく流れ出た血はすでに空気に触れ黒ずみ始めており、固く目蓋の閉ざされた顔は血の気も引いて青白い。
生きて言うと言っても時間の問題なのは百夜の目にも明確。
間に合わぬかもしれないと、再び最悪が脳裏をチラついたのだが。
苦悩に歪んだ双眸が不意に捉えた違和感によってその最悪はさらりと脳裏から消えてしまった。
その視線の先はソルトの右の掌。