Love Eater Ⅲ
「あなたに似てたんだわ…」
「…えっ?」
「自分を顧みず人の事ばかりな……私、」
「思い……出せたのか?」
「………私……私は…」
『おやまあ、なっかなか探し当てられないと思っていたら、……六花というものがありながら他の女と逢引中だったのかな?リッくん』
ようやく彼女の中でも霧の中から一つの記憶の端を掴んだ刹那の事。
不意に響いてきた第三者の声には彼女ひビクリと構えるも、ソルトに至っては聞き馴染みのある嫌味。
だから、驚きはしても戸惑うような事はなく。
「お前はどんな時だろうが嫌味な奴なんだな百夜」
『僕なりのリッくんへの愛情表情だからねえ』
「なんつうありがた迷惑な」
『なんだかんだ僕に縋ってくるくせに』
百夜も百夜であるなら、ソルトもソルト。
既に2人の出来上がった空気や会話があり、嫌味を飛ばしあっていても信頼感が滲むほど。
それでも、声はすれど百夜のその姿は見渡す限りでは見つけられずにいると。
『しっかし、探したよ。よくこんな深層まで落ち込んだものだ』
「俺にはお前が見えねえんだけど、お前には俺が見えてるのか?」
『見えてるねえ。いや、やっと見えたってとこか。さっきまではまるで見つからなかったから焦っていたんだけどね』
「さっきまで、あなたの記憶がなかったからよ」
いつのまにかいつものペース。