Love Eater Ⅲ
なぜなら、
「私はね、時雨の愛執と百夜の気まぐれで生み出されたモノなの。在る筈のない、長く存在する事は許されてない筈のないモノ」
「許されないって…」
「許されないのよ。私は自然の摂理に沿って生まれたわけじゃない。言わば人間の模造品に過ぎないの。不完全な私は魔力に満ちた無菌室の様な部屋でしかまともに生命維持もできなかったのだから」
「その辺はなんか百夜と時雨の会話から汲み取っちゃいたが…、つまりはこうだろ?時雨の…魔混じりとはいえ人間の技力ではまず人間の創生は出来なかった。そこで百夜の…魔物の魔力に頼ったがそれをもってしても成功とはいかなかった。…そういう解釈で正解か?」
「概ね正解。でも根本的な解釈が大きく違う」
「根本?」
「成功なんてそもそも無いの。魔物にだって0からの完全完璧な人間なんてものは作り出せない。…百夜はそう言ってたわ。小さくも基盤があるものを息吹かせる事は出来る。それでも、儚く瞬く間の仮初めの命だと」
「じゃあ…百夜はそれをわかっててあんたを、」
「言ったでしょう?気まぐれだったって。永い刻を過ごす魔物のほんの暇つぶし。適当に息吹かせるまではしてあとは時雨に丸投げしたのよ」
「ひでえな、」
「だから、今この瞬間も自分の愚かしさに蝕まれて苦しんでいるんでしょうね」
「はっ…ざまあみろってやつだ」
「フフッ、ざまあみろなのよ」
ああ、今の意地悪な笑顔は六花によく似ている。