Love Eater Ⅲ
百夜を皮肉って笑えば花鳥も同じように皮肉った笑みを見せ。
それでも言葉の裏にあるのは憎しみではなく愛着ばかりだとすぐにわかる。
愛して、許しているからの皮肉なのだと。
決して納得のいく、簡単に許せる筈のない事であったろうに。
「あんたは……六花もだが…根っこから無垢なんだな。本当…クサイ事いえばこの白百合がよく似合うような。…寧ろ、そのものっていうか、」
「…正解よ」
「えっ?」
「私の起源は白百合。言わば白百合の化身だもの」
「はっ?いや、だって確かあんたって…」
「そう、夜音を元に生まれ変わりとして生み出されたもの。私の体は彼女の髪や血の成分で出来ているの」
「だよな!なのに…白百合って、」
「そうね…わかりやすく言えば…肉体を構造するのは夜音の成分で、そこに吹き込まれた生命力が白百合と言えば分かるかしら」
「あっ…成る程。言い方はアレだが、白百合は電池ってことか!」
「そういう事ね。電池は息吹いているものなら何でもよかったのよ。ただ、白百合が時雨から見た彼女の印象だったみたい」
「…純潔…汚れのない心」
「きっと…時雨から見た彼女はそんな人だったの。目の前の困ってる人を見捨てられず、時雨の事も孤児だったのをそばに置いて。だから、時雨にとって彼女は母であり、姉であり…想う慕う女性であり」
「……夜音は…何故死んだんだ?」
「……殺されたの。時雨が16の歳の頃。……目の前で首を切り落とされたって」
「っ………」
思わず奥歯を噛み締めてしまったのは、瞬時に時雨の絶望的な悲痛を身に置き換えてしまったから。