Love Eater Ⅲ
どんどんと深く濃くなっていく内容には流石に脳内処理が追いつかず、とうとう自分での思索は諦めてしまったソルトの頭。
いや、ここまで予想を超える話では無理もなく、無駄な思索に走るより聞く方が早いと結論を打ち出したのだ。
そう、聞く方が早い。
話にいちいち否定を入れずに聞く方が。
そんな理性を唱えて息を吐いて仕舞えば準備は万端で。
「悪い。もう話を折らないからどういう事なのか聞かせてくれ」
「……夜音は…不治の病と言われていた人々を救い回っていたの。永遠に床にふす怪我や死に向かう病、そんな人々が夜音の手当てを受けた途端に回復していった」
「…不治の病が…回復…」
「あなたも…思い当たる節がある?」
「………血かっ?」
「そう…夜音の血。一滴で体の機能を全て治癒して正常にしてしまう彼女の血」
それが自分の中にも存在していたのだというように、花鳥は自分の細腕を複雑な面持ちで見つめており。
そして、その血は六花にまで繋がっているのだ。