Love Eater Ⅲ
そんな事を丁度思っていたタイミング。
「話がだいぶずれ込んでしまっていたわね」
「えっ?」
「あなたが聞きたかった話から。…本当は、私と百夜の事を聞きたかったんじゃない?」
ソルト本人も忘れていた話の脱線を花鳥の方から指摘し正してきたのだ。
「あっ…、ああ、そうだ。…そうだった、」
「何で百夜にあんな呪いをかけてまで今の道を選んだのか。…そんな疑問からの問いかけだったんじゃないかしら?」
「そう、それだよ。何でわざわざ百夜の記憶や力を弄ってまで自分が消えちまう選択肢を選んだのか。百夜ならあんたが消えない道も模索出来たんじゃねえの?」
「……そうね。百夜と2人、並んで生きていく道や方法は確かにあったわ」
「じゃあ、」
「ただ…百夜と私とこの子と三人で生きていくという道は見つからなかった。そもそも…私が命を宿すなんて事が有り得る筈のない話だったのよ」
「有り得る筈がない?」
「言ったでしょう?私は人間と言うには不完全で儚い生体だって。模造品と言うにも精度は引くく、人間らしいのは見た目ばかり。中身の機能なんかはまるで劣って欠陥ばかり。少なくとも…繁殖機能なんてものは備わってなかったのよ」
「はっ?!だって六花を…」
「孕んで産んだわ」
「えっ?えっ?…つまりはやっぱり備わってたって話なのか?」
「ううん、備わったの。百夜が私を生に対して貪欲にしてくれたおかげで。…あなたがあの子にそうしたみたいに」
ああ……なんか納得。
と、そんな説明の補足はソルトには一番わかりやすく納得もしてしまう。