Love Eater Ⅲ
今ならあの当時の六花の在り方や言動に合点がいく。
それまではどんな生い立ちからそんな感情の崩壊へと繋がったのかと思う事もあったのだ。
でも、今となってはまさに六花が言ったことそのままの話であったのだ。
何も知らず、何もなく。
変に知識はあるのに無垢でもあって。
あると分かっているのは平等に訪れる生と死だけ。
気が付いたらその状態に出来上がっており。
食物など摂取せずとも無意識に周りの生命力を食らい、それによって空腹なんて事すら覚えない。
そんな赤子だったのだ。
あの時の六花は。
「これで…あなたの知りたかった全てがわかったかしら」
「ああ。全部に合点がいったし、みんなみんな仕方ねえ事だったって事もな」
そう、どれもこれも仕方がない。
誰かの選択に意を唱えたくとも、その視点に自分の感情を置き換えてしまえば同情してしまうものばかりなのだから。
理屈の正論をかまそうと思えばいくらでも出来るが、理屈で片付かないのが人間というもの。
そして今更過去の時間にとやかく言おうが今がどう変わるでもない。
いや、変わってほしいとも思わないのだ。
全ての事情があったからこそ六花が生まれる事になったのだから。
どうしてソルトが否定出来よう。
だからこそ、全てを受け止め受け入れ理解した今思う事はただ一つ。
「やっぱり…あいつは幸せになるべきだ」
その結論であるのだ。