Love Eater Ⅲ
「…私は白百合のどれかって言ったのに」
「ああ、だから白百合のどれかだろ?あんたが自分で言ったんじゃねえか。自分は白百合そのものだって。まあ、あんたの本体はこっちの耳元の白百合なんだろうけどな」
そうだろう?なんて言わんばかり、ソルトの指先がまるで甘やかす様に白百合の花びらを擽れば「んっ」ともどかし気に表情を変える花鳥がいる。
そんな様子で改めて確信を持ってしまえばだ。
「うん、コレは六花だ。今はあんたの意志が突き動かしてるけど、俺が間違える筈ねえ」
再度、そんな結論をソルトが告げて、愛おし気に両手で頬を包みこむと屈託のない笑みを浮かべてみせ。
「ったく、世話焼かすんじゃねえよクソガキが」
そんな、口先ばかりの悪態をついてみせるのだ。
本当に出会ったころからこいつは面倒くさい。
でも今はその面倒くささの全てが愛おしくて尊い。
我儘上等、変態上等。
魔女でも人間でも何でもいい。
とにかく…、
「これでもかって甘やかしてやるから……、甘やかしてやりてえから。……とっとと帰ってこい六花」
俺のところに。
「……本当……良い人に見つけてもらったね、…六花」
六花を介して弾かれる花鳥のそんな言葉と、感極まった笑みに伝う涙は実に純麗。
心底安堵したように、ギュッと慈しむように自分の身を抱きしめる様はまさに母の姿という物だろう。