Love Eater Ⅲ
「六花の欠片とやらは見つけたんだろう?」
「ああ、確かに花鳥の謎かけに答えられた筈だ。答えて譲り受けて…」
譲り受けた。
つまりは…もしかしたら。
回想したやり取りを頭に指先が無意識に触れたのは自分の胸元。
花鳥からは確かに譲り受けたのだ。
それでも譲り受けたのは自分であって、まだ六花の本体には移り渡っていないのかもしれない。
そんな結論に至ってしまえはソルトが取る行動は一つ。
慌てる事もなく静かに六花の傍に寄り、ほんのり精気の戻った頬を確かめるように触れながら床に膝をつく。
その様はまさに童話で観る美しき愛の儀式のままに。
頬を伝った指先は言葉を誘うように艶のある膨よかな唇をなぞり。
「六花…」
そんな呼びかけを柔らかく弾いた唇は自然と六花の唇に重な…
「うぉらっ、起きろっ!変態魔女っ子!」
…重なる事は無かった。
優しく口付けるどころか悪態混じりに起床を促し、挙句の果てには六花の額をペチンッと強めに叩いたのだ。
そんな夢もへったくれもない愛の儀式には百夜も「リッくん…」なんて呆れ全開に頭を抱えてしまう程。