Love Eater Ⅲ



「君ねえ、さっきも突っ込んだけど仮にも恋人なんだよねえ?」

「恋人でもあるが保護者でもあるからな。子供が馬鹿したら怒るのも保護者の義務で愛情だろうが。ようは愛がありゃあいいんだろ?」

「いやさ、それも真っ当な意見ではあるけど暴力は愛と繋がるのかなあ?そこは童話みたく真実の愛のキスとかさあ」

「姫って柄か?こいつが。しかも、自分で自分を呪うなんて馬鹿してんだ。なんで甘ったるく起こしてやる必要があ…」

「ソル…ト…」

気がつけば六花はそっちのけとなっていた騒ぎの刹那、響いた声音は瞬時に2人の意識を引き戻しにくる。

そうして二者の視線が集中する先には、困惑の面持ちでソルトを見つめる六花の姿があるのだ。

まだどこか夢見心地。

微睡みも残る表情には不安も滲んで。

今捉えている光景すら夢か現か判断がついていないような。

だからこそ再び震えた自信のない声音で、

「……ソルト?」

そう呼んでしまうのだ。

確かに生きてそこに在るのかと。

普通、そこまで不安に満ちている姿にはめいいっぱい甘やかすような対応を取るものだろう。

まずは不安を取り除く様に優しく抱きしめ、「大丈夫だ」と音にし、頭のひと撫ででもしてやればいいというのにソルトと言えばだ。

「やっと起きたかアホ魔女がっ!」

なんて、労わり精神など皆無に青筋立てて怒鳴り散らす始末。

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