Love Eater Ⅲ



ソルトだって同じ気持ちであったのだ。

だからこそ憤りが込み上げていたわけなのだが、こんな小さな子供の様な様で縋られてしまえば優しく抱きとめる以外出来るわけがない。

「心配させんなボケェ、」

優しくもキツくしっかりと抱きしめてやれば、ようやく六花の激情も落ち着きをみせてくるのだ。

そうして宥めてやっていれば。

「保護者の義務やら愛情やらが聞いて呆れるよ。何だかんだ甘やかしてるリッくんじゃないの」

「ぐっ…仕方ねえだろ今回ばっかは」

「『仕方ない』ねえ。その『今回』ってやつを今後何度聞く事になるやら」

むっかつくぅぅぅ!!

と、思えど返せる言葉があるはずがない。

つい数分前にあれだけ偉そうな事を言っていたのだから。

なんならソルト本人でさえ自分の甘さ具合に『オイッ!』と突っ込みを入れたいくらいであるのだ。

それでも腕の中で大粒の涙を潤ませグスグス言ってる六花を捉えてしまえば。

ぐっ…無理っ。

何この愛くるしい生き物。

だってスンスンいってるんだぞっ!?

ふるふるスリスリしてるんだぞっ!?

……って、あれ?

俺いつからこんなにこいつに甘くなった?

と、この通りの緩甘ぶりである。


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