Love Eater Ⅲ
六花が自分達よりソルトを選ぶことなど最早嘆く理由もないほど当たり前のことだと思っていた。
だからこそ、百夜の方が六花に情を向けられる事に脳内の処理が追い付かず困惑してしまうのだ。
当然、そんな百夜の心情など知る由もない六花といえばさらに、
「一番に思えなくて……うん、ゴメン!」
パンっと胸の前で手を合わせながら謝罪の言葉も弾いてくる始末。
しばらくは予想外の出来事にぽかんと呆け、煙管からの煙ばかりを揺らしていた百夜であったが。
「……フッ……クックックッ、本当……なんだかなぁ…」
「ん?……魔ど……父?」
「………お礼も謝罪もいらないさ。一番に思うべきはリッくんだと思うし。なんなら僕を父なんて思う必要も呼ぶ必要もない」
「百夜っ、」
「ただ、困ったことがあったらいつでも頼っておいで。六花の為ならどんな知恵でも貸してあげるし協力してあげよう。………りっくんの弱点とか、りっくんに悪戯を仕掛ける方法とかね」
「パパっ!!」
「うぉおおおいっ!!ちょっと待てっ!!良い話な雰囲気が最後の明らかにおかしいだろっ!?何で俺がらみなんだよ!?六花もいきなり食いついて初めて親子の情通わせてるんじゃねえっ!!」
どんな絆の深め方だこんにゃろぉぉぉ!!
なんてソルトが悶絶する様こそがこの親子の最高の糧であるらしい。