Love Eater Ⅲ
とはいえ、一応それなりにソルトが望んだような親子の対話も成された状況。
まあ、この件に関しては一件落着だろうとソルトが無理矢理にも自分を納得させていたタイミング。
「で?……そろそろ話に戻ってもいいだろうか?」
そんな痺れを切らしたの当然これまで放置となっていた魔王様。
長いこと待っていたアピールのように腕を組み、その指先は苛立ちを示すようにトントンとリズムを刻んでいる。
そんな姿に「何の話だったっけ?」と、ソルトも急いで脱線となった岐路まで記憶を戻していったのだ。
そうして、
「えっと……確か、あの間の牢獄にいるのが夜音…さんって話から色々と話が逸れて…ましたよね?」
「そうだ」
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「また話を逸らすのか?」
「いや……そんなつもりは…」
「……はあ、なんだ?」
「……夜音さんが罪人だってことは理解しました。ただ、夜音さんに限らず他の魔物が人間に血を分けるような事はなかったんですか?」
「……あるぞ。そんな事は表向き禁じられているが、守るべき法、守られぬのもまた法というものは人間の世でも同じであろう?」
「それは…まあ」
「もちろん判明すれば取り締まってはいるさ。まあ、基本魔族は人間の血と交わることを嫌う節があるからな。人間に己の能力を分け与えるような血の譲渡や抱合なんて事案は稀にしかない」