Love Eater Ⅲ




悪人ではない。

それでも罪は罪であるのだ。

成した事により秩序が乱れ傷つき嘆くものがいる以上は。

その生きにくさの苦悩はソルト自身身に染みてわかっていることだから。

「…それでも…他の罪人は?魔女を生みだしたのは夜音が起因だとしても俺みたいな魔混じりもいる。つまりは彼女以外に人間に血を混ぜた魔族はどうなったんです?」

「……そもそも、同じ罪人と言っても大半が夜音とは行動目的が違う。それに今は法も変わり事情によっては罪人とも言えぬしな」

「えっ?」

「混血となった起因の多くは魔族と人間の婚姻だ。本来魔族は人間相手に恋情など深い移入は抱かぬものだが稀に抱く者もある」

「えっと…そちらでは基本そういう異種族の婚姻は合法なんでしょうか?」

「今はな。それなりの条件付きで許されてはいるぞ」

「えっ!?でも、それじゃあ魔混じりの人間が…」

「だから、そこが条件だ。人間を伴侶とした場合その魔力及び能力は剥奪され魔族からは追放となる。まあ、魔族が人間落ちする事で合法的な婚姻というわけだな。その処置をしていればまず子孫に魔の血が混ざることもない。お前の祖先あたりではまだ合法ではなかったし駆け落ちなんぞで逃げおおせた者などだろうな。」

「魔力の剥奪?魔力は魔族の生命力と繋がっているのでは?」

「…生命力に影響することなく魔力だけを奪い取る事も今のこちらでは出来るんだよ。勿論その処置を施せるものは限られているが」 

< 98 / 161 >

この作品をシェア

pagetop