私は彼氏がキライです!?〜クラスメイトとLOVEバトル〜



固まる私が次に聞いたのは、意外にも優しいアツの声。




『今からちょっと外出れるか?』



「えっ?」



『今・・・お前ん家の前にいる。』



「えぇーっ??」




携帯を握りしめたまま、私は急いで玄関に走った。



玄関のドアを開けると、門の前にアツの自転車が止まっているのが見えた。でも、アツの姿が見えない。




「・・・アツ?」



呼びかけても、返事がない。




門を出て自転車に近づこうとした時、



「おいっ」



すぐ真横から聞こえたアツの声。


思わず体がビクッとする。



「アツ」



アツは、門のすぐ横の壁にもたれかかって立っていた。




「お前、今日行ったのか?」



「行ってないよ。アツが行くなって言ったんじゃん。」



私が答えると、アツはすぐに私から視線を逸らした。



何となくいつものアツじゃない。



「アツ、どうしたの?」



こんな時間に、連絡もなしに突然くるなんて、初めての事。


私がアツの前に立つと、アツはゆっくり私の手を取った。



握るわけでもなくて、ただ私の指を触る。



視線は外したままで。




「アツ?」



「悪かった。今日・・・ごめん。」



元気のないアツの声に、キューッって胸が締め付けられる。



「アツ、大丈夫だよ?怒ってないよ?」




次の瞬間、私はアツの腕の中にいた。





.
< 117 / 488 >

この作品をシェア

pagetop