文の幸福
あまりにも本に夢中になり過ぎて気が付かなかった。
「こんにちは、仁!」
「・・・文、今から話を聞いて欲しいけど、時間大丈夫?」
「?時間は大丈夫だけど、仁はお仕事大丈夫?」
「・・・大丈夫。今日は休み。頼むから、オレが良いって言うまで、声を出さないでくれる?」
「?・・・」黙ってうなずく。
「ここに座って?」と図書館の一番奥にある、窓際のベンチに腰かける。
「文?怖がらせるつもりはない。
ただ、文の事知りたいけど、いつも聞く前に時間が来る。
だから、少しオレから質問タイム。いい?」もちろん頷くのみ。
「ふー、オレと付き合って楽しい?」
笑顔でうなずくと仁は不安そうな顔からホっとした表情になった。