文の幸福

「そ、それより、誠は?」

「誠はカウンター」

「は?早く言えよ!陽子!・・・」

陽子をみると、誰かが陽子に絡みついている。

「蘭も登場か、じゃあたしカウンター行ってくるね!文バイビー」

「え?もう行くの?」

「え?聞こえない!」

と言いつつも、聞き返す気の無い静香は人ごみに消えてしまった。

陽子をみると、向き合いながら彼の頭を撫でてる。

「仁、あの人が蘭さん?」

「ん、あまり他の奴見るな。なー文、そんなに飲んで大丈夫か?」

「だって、暑いもん!」私は一気に飲み干した。

「仁!お手洗いどこ?」

「カウンターの横、行く?」

「うん!」

さっきより歩きやすい。仁が腰に手を回したまま歩くから、誰ともぶつからない。

「オレここで待ってるから、なんか飲む?」

「さっきと、同じヤツ」

といって、仁をカウンターに残して、お手洗いに急いだ。


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