文の幸福
「一人の親として、息子を庇いたい。それに・・・孫の顔も見たい。」
「あの見てくれと学歴だ、どこの娘でも喜んで嫁はくるんじゃないか?」
「それが、無理なんだ。
人間関係だけは小さい頃からどうにもできない。
自分からなかなか近寄らない上に、基本傲慢だろ?
無理に友達にさせようと小さい頃に試みたが、コッチが諦めるまで、飯を食わなかった。
水すら飲まず、倒れて病院に運ばれたんだ。」
「そこまでか!聞いてると孤高のライオンだな。」
「はは、向かいの子は孤高のケダモノって言っていたよ。」
「はは、面白い子だな、向かいって確か、李財閥だったよな?女の子か?」
「そうだ、仁の幼馴染だ、たまに遊んでいるのを見てたから、縁談の話を一度したことがあったが、あっちから断られたよ、
仁と結婚するぐらいなら性転換してやるってさ!」
「おお、その子も激しいな、仁なら落とせるんじゃないか?」
「嫌、仁もあいつとなら、餓死を選ぶって言ってた。」
「・・・じゃ、“市川 文”なら確実なのか?」
「正直そうであって欲しいが、まだ彼女の素状も知らないし、仁の気持ちもわからない。
ただ、最後のチャンスかも知れないと思うと、安易に動けなくてな。」