文の幸福

「そうだな、だが、傷害事件の方は早めに動かないと、消せなくなるぞ。
関係者は落とせそうか?」

「ああ、加害者はコッチの人間で対処できる。本人とも確認済だ。
市会議員の方も大丈夫だと思う。
実は娘が仁の“婚約者候補”の一人だったんだが、先日向こうから、忘れて欲しいと連絡がきた。」

「そんなものがあるのか?」

「ああ、あの見てくれと学歴とオレだ、昔から申し込みが凄いよ、
断わるのも面倒だから、仁から連絡がなければ諦めてくれって事で受け取っている」

「はは、子が子なら、親も親だな、
市会議員はオレで手を回そう。
お前が動いたら、仁と事件の関係性を疑われる。
悟られないように、犠牲者の娘共々、一筆書かせるよ。」

「総裁が近いから助かるよ、仕事で借りも恩も作りたくはないからな。」

「・・仁はお前に似たのかもな」

今後の動きとまだ見ぬ孫を肴に夜明けまで飲んだ、“市川 文”早めに会っておかなければ。


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