文の幸福
慶はアメリカでの私と同じ環境下の子供だったが、向こうで追われる事態になって、日本の機関が引き取った。
でも、彼は一度は向こうの機関にいた人間だから、日本で同じ機関で働く事はできない。
アメリカにも一生戻る事の出来ない身分だ。
慶にいは両親もいない。
うちのお父さんが不憫な慶をそまま引き取った。
来たときは機関所属だったが、二か月後には完全に日本とアメリカの機関から抹消されたのだ。
自由の身となった慶がうらやましくて、父親に頼み、中国に住んでいる叔母さんの家にホームステイに行かせてもらった。
十歳ながらに逃亡を図ったのだが、責任感の強すぎる叔母さんからは逃げられず、一週間ずっと部屋に閉じこもり、ネット賭博に夢中になった。
ネット上とはいえ、あまりの莫大な金額に膨れてしまい、帰国前にアメリカの大学生の事業の株を大量に買い隠ぺいした。
それが、のちに世界中で有名なSNSの企業となり、慶と結婚する時に売り払い、
ココで山を買い、家を建てた。