文の幸福
しかし、少女はタクシーの運転手に車のナンバーと色を無線で流し、瞬時に応答があるのがわかっていたんだと思う。
応答が遅ければ、タクシーの運転手も対応をうやむやにしただろうが、すぐに手ごたえがあったから、信じたのだ。
少女は自分の立場を見分け、瞬時に最良の手段をとった。
オレの知能では少女の行動をなんと言っていいかもわからず、回りに聞いても不幸中の幸いとしか言わない。
オレが追及を諦めようかなと頭をよぎった時少女がホっと安心するのを感じた。
少女は犯人から逃げるときに負った傷よりも自分自身が追及される不安の方が気がかりなんだと感じ、諦めた。
小さな子供の手柄を追及するよりも守るほうが先決だと確信したからだ。