文の幸福
思わず見入っていると、根暗子はオレの名札を見ながら顔を傾け、耳からイヤホンを抜いた。

「すみません。もう一度お願いします。・・大谷さん?」

イヤホンしていたのを忘れてた。

オレ緊張してんのか?!

「よかったら、コレもおススメですよ。」

とおススメ枠の本を差し出した。

「・・・ありがとうございます。あと五十年後ぐらいにかりますね。」

・・・オレが差し出した本は{楽しい終活の手引き}だった。

客層みたら正しいチョイスだが、今のオレにはバットチョイス。

< 42 / 225 >

この作品をシェア

pagetop