文の幸福
はっ!誰かが近づいてきた。
足元と手がみえる。

あ、あの“ナメた事をした奴”だ、足元からなめるように、ゆっくり観察をしながら顔をみると、返事を待っているような表情だ。

話しかけたのか?
イヤホンを外しながら、ネームプレートを見る{大谷 仁}カッコいい名前じゃないか。

「すみません。もう一度お願いします。・・大谷さん?」

「よかったら、コレもおススメですよ。」

と{楽しい終活の手引き}を差し出してきた。

お前もさては館長の回し者か!!と怪しみながら

「・・・ありがとうございます。五十年後ぐらいにかりますね。」

と言うと、自分の差し出した本をみてギョギョっとしたようだ。

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