文の幸福
しかし、中学校の時、祖父が亡くなり、故郷の村の葬儀でご近所さんたちが、


「文さんは気性が荒くて誰も逆らえなかった」

「村の人だれも口答えができないくらい口も達者だった。」

「文さんが亡くなって平和すぎて村から交番がなくなってしまった」


と、噂話を聞いた時にはとても、とっても微妙な気持ちになった。

そんな文(あや)ですが、家族以外みんなブンとか文(ぶん)ちゃんと呼ぶ。

出席簿の読み仮名も“ぶん”になっていた。

住民票は大丈夫なんだろうか。怖くて確かめたことはない。


それにしても、今日は残念。無念。

朝から誰とも話さず、昨日から体も動かしていない。

欲求不満だ!!欲求不満だ!!


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