文の幸福
私の家は財閥だ。
大体の人はうちが財閥と知ると羨ましがり、媚びたり、妬む奴もいた。
うちは家の方針で長男長女以外は、中学校までは公立に通い、高校からは自由選択。
ただし、社交界のイベントには他の兄弟たちと交代で参加しなければいけない。
これは絶対条件。
警察の世話にならずに、言いつけどおりにイベントに参加をすれば進路を大まかに進めていい事になっている。
三女の私は比較的、自由にさせてもらってる。
にも関わらず、陽子と文は“残念な生まれ”と同情するような目でみてくる。
なんとなく居心地がよくてこの二人がいれば、他とは話もしなくなった。
なんとなく特別な目でみられていたことに、慣れていたが、心の奥で三女だし何かしらの期待の目で扱われるのが苦しかったのかもしれない。
私を期待もせず、応援もせず、ただ話を聞いてくれる奴らなんて、なかなかいない。
まー我関せずと言ったらそこまでの奴らなんだけどね。
ウマが合うのねきっと。
なんとなく一生の付き合いになる予感のする二人だ。