文の幸福
ふと視線をやると壁に半分身を潜める、田中のジジー。
コッチにこい!と視線をやるが、怯えて出てこない。
しかたないので、なるべく穏やかな声で田中のジジーに声をかける。
「田中さん、返却の設定触りましたか?」
「・・・はい、朝、34冊の返却を済ませたかったので。」
「限度は100冊にしてありますので、100冊以下は設定を変えなくてもスムーズにいけます。
他の設定がクルってしまうと、棚卸が合わず、また半年かけて一冊一冊調べる事になってしまうので、どうかココも他も設定を変えないで欲しいです。
困った事があれば、必ずオレに言ってください。
できる事はやりますので」
となるべく丁寧に半分壁の田中ジジーに諭した。
ジジーは「ありがたや、ありがたや」と壁の中に消えて行った。
妖怪壁隠れジジー。