愛され女子になりたくて
変調の兆し
全ての料理を食べあげて、デザートをどうしようかと話してたら、祥子ちゃんのスマホに着信が入った。
「ユタ兄、どしたの?」
どうやら祥子ちゃんの従兄、温(ゆたか)さんらしい。
お互い一人っ子で、近くに住んでるから兄妹の様に育ったって言ってた。
「ユタ兄のお迎えだ。カナも送って貰いな」
「この前も送って貰ったし、今日はそんに遅くないから大丈夫だよ」
相変わらず、仲が良い。
「だぁめ、ユタ兄が心配するから。カナに何かあったら、ホノ姉だって悲しむよ」
「・・・私は大丈夫だよぉ。祥子ちゃんは、絶対何か有るとは思うけど。私に限ってナイナイ」
「何揉めてんの?」
「ホノ姉!」
「こっちはお開きになったから、花菜美一緒に帰ろ!」
「ホノ姉も一緒に送って貰うよ?」
「温さんに悪いよ。お姉ちゃんと二人だし大丈夫だよ」
「安井さん、俺がコイツら送って行くから。大丈夫だ」
青山さんが、姉の後ろから現れた。
「ん、了解しました。ちゃんと送って行って下さいね!」
祥子ちゃんが納得したところで、会計して店の外に出る。
店先には、温さんが黒のミニバンを止めて待っていた。
「お疲れ様。あれ、カナちゃんはいいの?」
「温さん済みません。今日は姉と上司に送って貰いますので、大丈夫です」
「そうか、気をつけて帰ってね。祥子がいつも振り回して悪いね。何かあったら、何時でも連絡して貰って構わないから」
「はい。ありがとうございます。おやすみなさい。祥子ちゃん、またね」
「はい、はーい。カナもホノ姉もまたね~」
温さんが来て安心したのか、かなり酔いが廻ったようだ。
陽気に手を振ると、帰って行った。
「今のは安井さんの彼氏?」
青山さんは、知らないんだっけ。
「祥子ちゃんの従兄です。ちょっと過保護気味ですが」
「安井さんのガードの硬さは、あの人だな。なるほど、鉄壁だな」
妙に感心してる。
「じゃ、俺たちも帰ろう」
青山さんも同じ路線で、私達と同じ駅から通ってる。
三人で電車に乗り込むと、青山さんと姉が同期の話をしているので、少し気詰まりな感じがした。
車窓を流れて行く夜景を見て、ボッーとしてしまう。
青山さんは姉と話をしながら、こっちを見てる。
車窓に映る青山さんの視線に気付くと、私は目を伏せた。