愛され女子になりたくて
私には到底、手が届かない様な高嶺の花。
肩まであるストレートの髪を、パステルブルーのシュシュでサイドに纏めただけ。
清潔感重視のオフィスカジュアルに、身を包んでいる冴えない自分。
姉だって、私と変わりないのに・・・同じ姉妹でこんなにも違うのか・・・。
姉は母に似て、顔立ちも華やか。
私は父に似て、控えめな地味顔。
良くも悪くも、昔から比較されていて、それがコンプレックスなのに、同じ会社に就職してしまった。
会社自体に問題も無く、恵まれた職場環境だと思う。
「佐藤さん、悪いんだけど総務にファイルを五冊程注文しといて!」
「了解です。いつもの青いやつで、良いですか?」
「うん、頼むよ。今から一件アポ入ってるから、昼には戻るよ」
そう言い残すと、青山主任はサッと外出して行った。
私は内線電話で、総務部に連絡を入れる。
「総務部、都築(つづき)です」
「営業部、佐藤です。モカちゃん、悪いんだけと青いファイル五冊用意お願いします」
「あっ、青山さんの依頼?直ぐに用意するね後で届ければ良い?」
「良くわかったね?青山主任は午前中は外出だから、午後でも良いよ」
「花菜美ちゃんの依頼は、殆ど青山さんのだし、テーマカラーじゃない」
「それもそっか。じゃ、お願いします」
総務部の都築萌香(つづきもえか)ちゃんは、高校からの親友。
ちょっぴり天然で、小動物的な可愛らしい子で・・・青山さんの、想い人。