愛され女子になりたくて
決意

本日の女子会は、会社の近くにオープンしたばかりのバル、「カシェット」。
隠れ家の様なバルで、アイボリーの漆喰に電球色の照明で落ち着いた感じの店。
ホント、祥子ちゃんは色んなお店を知っている。
半数以上のお客さんは女性で占められ、居酒屋の様な活気とは違う感じだ。

「祥ちゃん、よく予約取れたわね・・・ココ中々人気なのよ」

優子さんが驚いている。

「たまたま、キャンセルが出たらしくて。ラッキーでした・・・と言いたい所ですが、実は従兄の店なんですよ」

「えっ、温(ゆたか)さんの店なの?」

私もモカちゃんも、知っている祥子ちゃんの従兄。

飲食関係の仕事って聞いてたけど、こんな近くでオーナーをしているとは、ビックリだ。

「いらっしゃい。急なキャンセルで助かったよ。コース料理で悪いけど、ゆっくりしていってね」

ちょうど話をしている時に、温さんが顔をだした。

中性的な雰囲気の温さんは、穏やかに微笑んで厨房に帰って行った。

「祥子ちゃん、温さん相変わらず王子オーラ半端ないね・・・」

私は思わず、感想を口にすると

「祥ちゃんの目が肥えてる訳だ。あんなイケメンが身近に居たんじゃね・・・」

優子さんが祥子ちゃんに意味ありげに視線をおくる。

「優子さん!」

「うふふ、私は何も言ってないわよ。それにしても、見せたかったわ、会長の勇姿」

優子さんから、事のあらましと、社長室での顛末を聞いた。

「あの杏子(きょうこ)さん、いつも社長のお使いに来るんだけど・・・身内ってだけの部外者なのに何時も上から目線で、辟易してたのよ!会長に一刀両断されて、スカッとしたわ」

カラカラと気持ちいい笑い声をあげて、モスコミュールをぐい呑みする優子さん。

私もあんな風に、笑い飛ばせる日が来るのだろうか?

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