愛され女子になりたくて
種を撒く時期
二課に異動して、私が中野さんに呼ばれた理由がわかった気がした。
一課に比べて、二課の事務レベルが中野さんの満足を満たすレベルになく、営業が内勤で回す事によって、成績が振るえてない。
二年目の浅井(あさい)さんと、新卒の諸橋(もろはし)さんの二人で、五人の営業をサポートするにはさすがに無理だ。
ベテランの藤川(ふじかわ)さんが産休に入ってしまい、二人で途方にくれて居たのだそうだ。
「佐藤さん、この資料なんですけど・・・」
「佐藤さん、稟議書ってどこの書式にあるんですか?」
こんな感じで、営業がアポイントなんか取れないよね。
とりあえず、中野さんと中堅二人の営業に私を据えて、浅井さんと諸橋さんには、それぞれ同期の営業を担当してもらおう。
「じゃ、アポ先に行ってくる。ハナ、何かあったら、何時でも連絡してくれ」
「了解しました。気をつけて、行ってらっしゃい」
ホッとしたような顔で、中野さんが営業に出る。
今日はやっと新人の同行に行けるらしい。