愛され女子になりたくて

私は次のアポイント用の資料を纏めながら、浅井さんと諸橋さんに資料作りのやり方を教えていた。

「なるぼと・・・こういう配置で作ると、見やすいですね。早速、実践してみます」

浅井さんは、飲み込みが早くて覚えが良い。藤川さんが産休でなければ、今頃はもう少し戦力になっていたはずた。

「佐藤さん、このグラフはどうやって作るんですか?」

諸橋さんは、飲み込みは遅いものの、真面目にコツコツ身に付けるタイプみたい。
浅井さんが独り立ち出来てたら、教える余裕もあったかも知れないな。

「諸橋さん、グラフは数値がしっかり入ってればちゃんと出来るの。だから、正確に漏れの無いように入力してね」

「はい、わかりました」

うん、とっても素直。
元々、頭が悪いわけじゃないし、ちゃんと教えると二人とも素直に聞いてくれるので、早くに楽になりそうだ。

この一週間、基礎から下地を作ってきた。
二人とも真面目に仕事を覚えようとして、一生懸命に頑張ってくれている。

浅井さんは、元々一年基礎を学んでいるので直ぐにステップアップ出来る。
諸橋さんは基礎がやっと飲み込めたようで、実践で慣れてもらうことにした。

それでも時々、青山さんの声を聞くと気持ちが揺れる。

なるべく、一課の方に気を取られないように自分に言い聞かせ、後輩二人の指導と事務の仕事に専念する。
< 29 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop