愛され女子になりたくて
とりあえず、荷物を空き部屋に仕舞い、トートバッグをダイニングで広げた。
「青山さん、お腹好きましたよね?私、お弁当作って来たので、食べませんか?」
青山さんの目が輝く。
「佐藤さんの手作り?マジかぁ。食べよう!直ぐに食べよう!」
「お皿お借りしても?」
「これからは佐藤さんもここの住人なんだから、好きに使って良いよ」
「はい。使わせてもらいます」
取り皿になりそうな中皿を二つ出して、一応用意してきた割り箸を出す。
大きめのタッパーを開けて、五目稲荷を披露する。
「稲荷寿司なんて、久しぶりだな・・・」
「お口に合えば、良いですけど」
耐熱皿を見つけ、次のタッパーの中身をレンチンさせてもらう。
温まったら、別にラップで包んで来た絹サヤエンドウを盛り付けて出す。
「これは?」
「肉じゃがなんですけど、我が家は厚揚げも一緒に煮るんです」
「へえ、美味そう」
次のタッパーを開けると、厚焼き玉子とベーコンとほうれん草のバター炒めを出す。
お椀を出して、水筒からミョウガと卵のすまし汁を注いで、夕飯の完成だ。
「なんか、本格的な夕飯だ。初日から、家庭料理食べられるなんて、ラッキーだ」
「嫌いな物とか、無いと良いですけど・・・どうぞ」
二人でダイニングテーブルに向かい合って、手を合わせて食べ始めた。
「・・・美味い!」
一言呟くと、パクパクと食べていく。