愛され女子になりたくて
「それは、褒められているのかな?」

「フフ、もちろん。貶してはいないです」

「ありがと。花菜美は、どちら側で寝る?」

「クローゼット側で、良い?あまり、空間があるの・・・落ち着かなくて」

「了解。じゃ、俺は窓側に寝るから」

「うん」

お互い、ベッドに入ると端と端に横になる。

「灯り、消して良い?俺明るいと寝れなくてさ」

「うん。良いよ」

リモコン式らしく、横になったまま灯りを消した。

「じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」

暗闇の中、隣りに健吾さんが寝ていると思うと、ドキドキする。
何かの拍子に、聞こえてしまいそう。
お願い、静まって!と、自分の心臓に言い聞かせながら、息を殺す。

「眠れない?」

いつの間にか、耳元に囁き声が。

「・・・はい」

「こっち向いて、ほら・・・」

健吾さんの方を向かされた。
いく分、目が暗闇に慣れたとはいえ、ぼんやりと顔が見える程度だ。

「もっと、こっちへ・・・」

健吾さんにすっぽりと、抱き込まれる様にされた。

「うん、いい子だね。端っこで緊張してると寝れないだろ?」

暗くて良かった。
たぶん、私の顔は真っ赤になってるハズ・・・。

暫く健吾さんの腕の中でじっとしていたら、健吾さんの心音が一定のリズムを刻んでいて・・・いつの間にか、寝入ってしまった。


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