愛され女子になりたくて
シャンプーやコンディショナー、歯ブラシなんかを一通り揃えて会計すると、結構な金額になった。

財布を開けると、健吾さんがそれを遮り

「一括で」

と、クレジットカードを出してしまった。

「今日は財布、出さなくてイイよ」

「えっ、でも・・・」

「部屋の契約用に、取っとけな」

「・・・・・・・・・」

「不満そうだな。弁当代だと思っとけよ」

「わかった・・・」

「ん、いい子だね」

何だか、昨夜から健吾さんが、とっても甘い!
男性にこんな風に甘やかされた事なんてないから、困惑する。


クルマの後部座席に買った物を仕舞い、ショッピングモールに向かう途中のカフェで、少し遅めのランチを食べる。

食べながら、健吾さんが三人姉弟の真ん中と言う事を知った。
御両親は、経産省の官僚を退官して、現在はお父さんの実家がある福岡に移り住んでいるとか。
お姉さんはアパレルブランドの専務夫人で、弟さんは大手IT企業でシステムエンジニアをしているらしい。
華麗なる一族・・・。

「うちは至って平凡ですよ。お父さんは食品会社で、物流センターのセンター長をしているけど・・・会社は中堅企業だし、お母さんはスーパーのパートタイマーで、レジ打ちをしている」

「そこに、東海林さんが加わるわけか」

「あ・・・そうだね。フフッ・・・」

和やかにランチを終えて、ショッピングモールにやってきた。
土曜日の午後とあって、中々の混雑だ。

「さあ、どこから行こうか?逸れると行けないから」

そう言って、手を繋がれた。
私、手汗大丈夫かな・・・。

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