愛され女子になりたくて
食事という名の事情聴取
終業後、1階のロビーで祥子ちゃんと待ち合わせた。
二期上の同期会があるせいか、何時にも増してザワザワしてる。
人がざわめくなか、まるで昔見た映画の「十戒」の様に、人垣が割れて祥子ちゃんが登場した。
祥子ちゃんは常務秘書で、頭も良く、モデルバリのフェイス&ボディの持ち主。
ヒールの音を鳴らして歩く様は、ランウェイのスーパーモデルですか?という周囲の視線を浴びてる。
「カナ、お待たせ。お腹ペコペコなんだ、早く行きましょ」
言うが早いか、私の手を引き社外に出る。
祥子ちゃんは私を「カナ」と呼ぶ。
モカちゃんも「モカ」だし、略名が好きみたい。
「祥子ちゃん、何が食べたいの?」
「ん、イタリアンで、良い?チーズと、トマトソースって気分」
「イイよ。私も久しぶりに、ラザニア食べたい」
小洒落た雰囲気のイタリアンバルに、腰を落ち着けた。
値段がリーズナブルな店なので普段はもっと賑わっているのだか、団体の予約があるために、少人数の入店だけに絞ってるらしい。
運良く、半個室が空いていた。
お腹に溜まりそうな何品かオーダーして、グラスワインで乾杯した。
「一息着いたところで、聞いたわよ!」
「えっ?何を?」
「昼間、青山さんと中野さんに、取り合いされたんだって?」
なんだか、話が飛躍しているなぁ。
「私、取り合いされた覚えはないよ?」
「聞いた話だと、そういう風に見えてたって事よ!」
「まあ、中野さんも秘蔵っ子のカナが可愛くて、ちょこちょこ構ってるしね」
「祥子ちゃん?」
「優子(ゆうこ)さんに聞いたけど、モカを誘ってたのを、桜葉部長に阻止された後で、追い討ちの様に、カナが弄られてるのが我慢ならなかったのね・・・青山さんもよくばりね」
・・・やっぱり、モカちゃん誘ってたんだ。