愛され女子になりたくて
チラホラと、団体予約の人達が来はじめたようだ。

「二人もここだったんだ」

「お姉ちゃん!」
「ホノ姉、久しぶり~!」

どうやら団体は、さくら堂の同期会だった様だ。
祥子ちゃんも姉に懐いていて、偶然居合わせて嬉しそうだ。

「おい、俺らは、奥のパーティルームだろ?何やってんだよ、佐藤」

不機嫌そうに、青山さんがやって来た。

「青山さん、済みません。姉を引き止めちゃって・・・」

「あっ、いや。佐藤さんに言った訳じゃ、無いから・・・」

「何よ、うちの妹には随分と良い人ぶってるのね?」

「ホノ姉、青山さんは今、微妙なのよ。中野さんにカナを盗られそうで、戦々恐々なんだよ」

「何それ・・・中野さんと張り合ってるの?営業部のホープがねぇ」

流し目の姉に、バツが悪そうに青山さんが言う。

「別に、そんなんじゃない。それに、佐藤さんは一課だし、二課は二課で事務は居るだろう。中野さんが教育係してたって、今は課が違うんだ、異動はさせないよ」

「でも、決定権は人事から上ですよね?」

祥子ちゃんが、追い討ちをかける。

「それもそうね、あんた達がやり合ったって異動が出るか出ないかは、上の人達の意思でどうともなるんだから」

姉も祥子ちゃんに同調して、青山さんで遊んでいる。
二人とも、凄いな・・・。

「ああ、そうだな!俺、先に会場行ってる。佐藤さん、お疲れ」

拗ねてしまった。
何だか、いつもの青山さんらしくないな。
拗ねてるのも、カワイイくてキュンとするけど・・・。

それにしても、祥子ちゃんも姉も・・・青山さんにひどい態度。
姉は同期と言う理由があるけど、祥子ちゃんはどうしてだろう?

「じゃ、私も会場に移るね。ショコたんまたねぇ」

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