Violet Detective
「はあ!?」

「ええ!?」

東さんはともかく、普段はあまり感情を出さないようにしている私も大声を出してしまった。人の予定を勝手に決めないでほしい。

「探偵に助手は付き物だろう?」

東さんにささやいたその一言が、私の耳に届く。

「探偵?」

首を傾げる私に、「何でもない」と妖艶な笑みを右京さんは浮かべた。



土曜日の夜、私は私服ではなく膝丈の淡い水色のドレスを着ていた。右京さんと東さんもいつもの白衣姿ではなくスーツ姿だ。

「……ここがパーティー会場か」

右京さんが辺りを見渡す。そこは東京にしては珍しく自然豊かな場所だ。西園寺家の別荘らしい。

「パーティーといっても、僕らを含め招待された十人しかいないんだ。気楽にしていればいい。僕がアニサキスの話を聞いたら帰ろう」

そう右京さんが言ってくれたことに安心する。パーティーなんて初めてでどうすればいいかわからない。西園寺家のパーティーだし、恥をかくわけにはいかない。
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