Violet Detective
ロナルド・ブラウン。アメリカ、ボストン出身。マジシャン。世界各国でショーを開催している。三十二歳。

ジュルタ・ペトラ。ハンガリー、ブタベスト出身。高校生。I.Q160。十六歳。

佐久間典久。佐久間研究所の所長。西園寺と大学の同期。徳島出身。妻を三年前に亡くしている。娘が一人いる。

内村京子。ミステリー小説家。佐久間研究所で十五年働いていた。四十五歳。息子を交通事故で亡くした。北海道出身。

安藤幸人。プロ野球選手。岩手出身。二十二歳。

木下一花。モデル。東京出身。二十歳。

谷口正人。ヨーロッパに十年ほど住んでいた。会社の社長。西園寺とは取り引き相手。六十歳。

「エキノコックスはキツネを通して感染する……。キツネはヨーロッパに多いし、エキノコックスを仮に用いた殺人ならヨーロッパにいた谷口さんかペトラちゃんが怪しくない?」

東さんが資料を見ながら言う。たしかに、キツネの多い地域にいればエキノコックスを手に入れることも可能かもしれない。しかしーーー。

「君は馬鹿なのか?」

冷たい目で右京さんが東さんを見つめる。東さんの額から汗が流れ出した。

「エキノコックスの潜伏期間は十年。七歳のペトラに西園寺を感染させることはできないし、谷口もスペインに住んでいた。航空の手荷物検査で引っかかるだろ」
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