Violet Detective
「で、でもさ!ペトラちゃんは無理だとしても谷口さんなら可能性はあると思うよ。谷口さんは社長だし、日本でこっそりエキノコックスを採取して感染させたかもしれないよ。取り引きで何かトラブルがあったかもしれないし……」

東さんは早口で話す。しかし、自分の推理に自信はなさそうだ。

「まあ、まだ殺人と決まったわけではありませんよ」

私がそう言うと、空気は少し穏やかになる。

「たしかにそうだな。僕はとりあえず、西園寺の人間関係を調べてみる」

右京さんは資料をしまい、立ち上がる。白衣を脱いで出かける支度を始めた。

「東、お前も来い。どうせ暇だろう」

「勝手に人の予定決めるなよ〜」

そう文句を言いながらも、東さんも白衣を脱いで支度を始める。私は研究所でお留守番だ。右京さんに、「危険な目に遭わせられない」と言われたためだ。

たしかに、推理小説を読んでいれば、大抵の探偵は事件に巻き込まれて危険な目にも遭っている。
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