Violet Detective

人の闇

「……ここだな」

右京さんが呟く。東さんがゆっくりと頷いた。

目の前にあるのは、大きな建物。「佐久間研究所」と書かれている。

佐久間典久に話を聞くのが目的だ。

「調査には連れて行かない」と言っていた右京さんは、突然「一緒に来ないか？」と朝言ってきた。右京さんの考えていることはよくわからない。

「行くぞ」

右京さんは、呼び鈴を押した。



「西園寺との関係ですか？いやぁ、そんなに仲がよかったわけではないですね〜」

研究所にいる時の右京さんや東さんのように、佐久間も白衣を着ている。研究所では、多くの研究者が研究をしていた。

「というと？パーティーに招待される仲ではないのですか？」

東さんが訊ねる。佐久間は頰をかきながら言った。

「もう死んだので言えるんですが、私は脅されていたんです！」

「脅されていた？」

あまりに物騒な発言に、私は思わず聞き返す。佐久間は何度も頷いた。

「西園寺は大学にいた頃、よく授業をサボっていました。そして頭のいい人を脅してノートを写さしてもらっていた。首席だって、脅して奪い取ったようなものなんです！」