Violet Detective

京子の住むマンションは、今いる場所から四十分ほど離れた場所にある。私と右京さんはタクシーに乗り、京子のマンションへ向かう。

右京さんは、ずっと窓の外を眺めていた。その横顔はとてもきれいだ。寄生虫学者ではなく俳優が似合うと感じるほど……。

京子のマンションは、予想しているより小さなものだった。五階建てで新しいものではない。

京子は四階に住んでいる。右京さんが部屋の呼び鈴を押した。

「はい」

京子はすぐに出てきてくれた。

「西園寺さんのことを調べているんです。協力していただけませんか？」

私が微笑みながら訊ねる。京子さんはすぐに「どうぞ、入ってください」と部屋に通してくれた。

部屋は、女性の部屋にしてはかなりシンプルなものだ。必要最低限の家具しか置かれておらず、部屋はほとんど色がないような状態。

部屋の隅にはコート掛けが置かれていて、コートが一着かけられている。袖の部分に白い毛皮のついた上品な紫のコートだ。