無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「だよな?は、おまえ....」
「....ってあれ?ドア開いてる.... 」
ドアの向こうから、ボソボソとそんな声がきこえてきた。
....誰か、来た?
一旦お弁当箱を床に置いて、ドアに視線を向ける。
すると、ガチャリ、と軽快な音でドアが勢いよく開いて。
「──....っ、あ」
座りこんでいる体勢だから、下から見つめ合うみたいに視線が重なる。
「....誰だ、おまえ」
そして、彼の瞳が私を捉えた。
真っ黒な黒曜石みたいな瞳、すごくきれい.....。
「桜、蕾」
そうして無意識に呟いた、その名前。
「....おい、聞いてんの。地味女」
落ち着いた低音で、どこか甘さを纏った声が、シンとした屋上に響く。