無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「よかったぁ~、ありがとうっ」
みんなの言葉に、じわじわと心が温かくなって、頬が緩んでいく。
──冷やしゃぶ冷やし中華
今日みたいな熱い日こそ、冷たくてさっぱりしたものがいい....というみんなの言葉から浮かんだメニュー。
ニンジンもグリンピースも入ってないし、冷やしゃぶはさっぱりしていて、エネルギーもつくし、ピッタリだった。
冬哉くんの''甘いやつ''は、後ほどに。
「僕冷やし中華ってだいすき~っ。みーちゃんもだいすき~」
「ふふっ、ありがとう」
お世辞だとわかっていても、湊くんの言葉が嬉しくて、自然と笑顔がこぼれる。
すると隣に座っている駿くんが、私の手を取る。
「未桜ちゃんさぁ、おれの専属料理人にならない?給料はずむよ?」
「駿くん、大げさだよ」
にこにこしながらどこか真剣っぽい駿くんに苦笑いを向ければ、頭にかけられる重心。
「ばーか、未桜は俺んだよ。....あと触んな」
''俺の''っていう律くんのセリフにドキッとしたのは、気のせいってこと....にしておこう。
「はぁ~、姫のナイトが手強い」
そんな駿くんの言葉は、私の耳をすりぬけていった。