無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる



◆◇



2年前、12月下旬。


やけに冷えこんでいたその日。



「あー.....さむ」


なんとなく、と。


遠回りしたのが間違いだった。


はあ、と息を吐けば、白になって消えていく。


手をさすりながら、自分の服装に視線を移した。


スーツに薄手のコート一枚。


マフラーや手袋の防寒着は一切なし。


あまりのひどさに笑みがこぼした、瞬間。



ぞわ、と背中に嫌なものが走った。


芯から冷えていく感覚、襲ってくる震え。



「(....やべーかも)」



かすむ視界の隅に、小さな公園が映る。


ふらふらとした足取りで、ベンチに腰かけた。


冷えきったベンチは居心地最悪だけど、立ってるよりはマシだろ....。


ズキズキと痛む頭を押さえながら、スマホのロック画面を開けば。


【充電1%】


そんな文字が表示されたと思うと、プツリ、画面真っ暗。


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