無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
───や ば い
律くんの手を取り、ぎゅっと握った。
「り、りつくん......っ、こっち!!」
バレないように、小さな声で囁いて。
靴箱のすぐ横、人目のつかないスペースに移動した。
「.....暗いな、ここ」
「ご、ごめんなさい.....!」
忘れられたカサなどの、使わないものを置いておくような物置のような場所だからか、ほとんど明かりがない。
きょろきょろ、視線だけを靴箱にやれば、それらしきひとはいなくて、ほっとする。
「ほんとにごめんね、律くん。もうだいじょう.....っ、」
ここを出ようと、律くんを見上げると。
思ったよりも至近距離で、じっと射抜くような視線を向けられて、ドキッとした。
.....だめ、自分の気持ちを自覚したからか、いつもの数倍心臓にわるい。
「え....っと、りつくん。ちょっと近い、です」
「....そー?」
にやっと笑って、わかりやすく首を傾げる。
......確信犯、ずるい。