無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる
「未桜に会いたかったから」
「え.....、」
ほんのりと頬を染めて、告げられた言葉。
呆然とする私に手を伸ばして、律くんはびしっとデコピンをひとつ。
「ぅ、いたい.....っ」
「こんなこと言わせんな、ばーか」
意地悪な言葉と裏腹に、細められる瞳はやさしい。
───私に会いたいって、思ってくれたの?
朝も会った....のに、変わってるなあ、律くん。
.....なんて、どんなに心のなかで冷静を装っても、結局は。
頬を緩ませる私を見ながら、不機嫌そうに顔を歪める律くんは、なんだか小さい子どもみたいだ。
「ふふっ。ねえ、律くん」
「.....なに」
くい、とブレザーを引っ張って、背の高い律くんに届くように、ちょっと背伸びをして。
「私も、会いたかったよ。.....律くんが会いに来てくれて、うれしい」
ないしょ話をするみたいに、耳元でこそっと囁いた。